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ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。

 新潮ミステリー大賞の選評を伊坂幸太郎がされていて、最終選考に残ったある作品についての言葉がとてもよくて、買わないと決めていた『小説新潮』を買ってしまった。

文芸誌は捨てどきがわからないのでなるべく買わないようにしていたのだけど、『小説新潮』の10月号を立ち読みしていたら泣けてきてしまった。しかも今回は選評が目当てなわけだから立ち読みでいいやと思っていたのだけれど、立ち読みしながら泣いてる気持ち悪い客は営業妨害なので、そのお詫びに買った。

 

『クロス・ザ・ボーダー・オールスター』これを一番面白く読みました。

 

という一文からその選評は始まる。

丁寧に物語をたどりながら「感心しました」「素晴らしい」「感動的」と、絶賛しておきながら、 

ただ、ほかの選考委員の支持を得られない中で、僕が強く推そうと思えなかったのは、この作者の方が次にどういった小説を書くのかがうまくイメージできなかったからです。

と、突き放す。

 

この作品は膨大な資料が使われており、非常に手間や時間がかかった全力投球のものに感じられ、これが受賞して本になっておしまいとなってしまうのではないか、そうなっては寂しい、と(言いがかりに近いですが)不安を抱いていたため、選考会でほかの選考委員の感想を参考にするつもりだったのですが、残念ながら、積極的な評価は得られませんでした。とはいえ、この作品に興奮する読者は多い、と僕は思います。ですので、「ふざけるな、どんどん書けるに決まってるだろ」ということを証明するためにも、新しい作品を書き上げ、応募してもらえれば嬉しいです(もちろん別の賞でも構いません)。そしてデビューして、この作品も発表してください。たぶん、それがこの大作を世に出す一番の近道のようにも感じます。

 

 

これを読んだとき、サントリーミステリー大賞の公開選考でめちゃめちゃに批判された伊坂さんを北方謙三が励ましたというのを思い出した。

 

おそらく若い小説書きがいたらいたら北方さんはいつもこんな風に励ますのだろう。明日になったら僕のことなど忘れているだろう。そう思いながらも救われた気分だった。

『3652』 伊坂幸太郎

 

 

 

伊坂幸太郎の小説はとても好きなのだけど、エッセイやインタビューを読むのも大好きです。

何を語っても"僕は勝手にそう思ってます"、"あくまでも個人的な意見なんです"、"どうもすみません"、というような、もっと偉そうにしていいのに!と言いたくなるぐらいに控えめで、優しい言い方をされる。

あぁ、いいなぁと思いながら『第二回 新潮ミステリー大賞作品募集』でのコメントを読んだらちょっと笑ってしまった。

 

「この話、どうやって思いついたんだ?」と唖然とする小説が読みたいです。「自分の好きな部分」はあえて申し訳なさそうに書くのがコツのように思います。

 

 

 

先月末に発売されたばかりの『アイネクライネナハトムジーク』も、とてもよかったです。 

文芸誌に載っているのをちょこちょこ読んでいたけど、あらためてまとめて読んでみてもやはり大変面白かった。読みながらついニコニコしてしまうから外で読むとダメね。

アイネクライネナハトムジーク

アイネクライネナハトムジーク

 

 

ちなみに私が『トイ・ストーリー』を観たのは2007年発売の『papyrus』に掲載されていた『アイネクライネ』を読んだのがきっかけです。

 

 

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