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いなくなった私を消し去って

その他

限られた時間、限られた空間でも「自分は求められている」という幻想をみせてくれるひとは非常にありがたい存在だと感じる。

 
もうすぐ太陽がてっぺんにくるような時間、飲み屋が立ち並ぶ通りを肩を並べて歩く。
「今日暖かいね」「昨日はあんなに寒かったのにね」なんて意味のない会話を申し訳程度にして、別れ際笑って「またね」とありきたりでうわべだけの約束を交わす。
 
「またっていつだよ」って『アヒルと鴨コインロッカー』で瑛太が叫んだな、岳くんはそれに返事をしなかった。カットされた場面では、その後岳くんが弁当の旗を指して「ダルシン!」と振り向くんだけど、もう既に瑛太は立ち去っている。
監督はあの場面を蛇足だと思ったのかな、どうしてかな。
そんなことを考えながら、私は絶対振り向かない。
 
マクドナルドに立ち寄って、100円のアイスコーヒーを買い、それを飲みながらバスを待つ。アイスコーヒーを一口飲むたびに涙が出てきて、頬を伝うそれの熱さに少し驚いた。